大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和30(あ)1974 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人村松康三郎同小中公毅の上告趣意について。

所論は憲法違反をいう点もあるが、実質は被告人に横領の犯意がないとする事実

誤認ないし違法性がないとする法令違反の主張に帰し刑訴四〇五条の上告理由に当

らない。そして第一審判決挙示の証拠殊に被告人の公判廷における供述記載によれ

ば、被告人は昭和二八年一〇月末頃Aから縮緬二〇反を代金九万円で買入れの依頼

を受け、その代金の内払として額面四五〇〇〇円の小切手を預り、品物は一、両日

後に他より入手して手渡すこと、品物と引換えに残金をAより受取る旨を約しなが

ら、右小切手を直ちに現金化して、当時勤めていたBにおいて、ほしいまゝに自己

及び他の職人の給料に充て生活費に費消したもので、被告人が縮緬の買受先へ商談

に赴いた際にも右小切手はもとより現金をも持参せず、Bが得意先から受取るべき

仕事の掛金を集金してこれに当てようと意図していたことが明らかである。従つて

かかる事情の下に原判決が着服横領の犯意および違法性を肯認したことは正当であ

つて所論の違法は存しない。

弁護人大谷美隆の上告趣意について。

所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当

らない。そして原判決に同四一一条を適用すべき事由の認められないことは、弁護

人村松康三郎同小中公毅の上告趣意について判断したとおりである。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和三二年一一月六日

最高裁判所第二小法廷

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裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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